解体現場の御宅で良い品を拝見させて頂きました。
聞くと、お義母さまの嫁入りの桐箪笥。
大変良く作り込まれた逸品でした。
愛着をもって使い込まれた姿はさすがに年代を感じますが、細部の作り込みや細工の具合などを見ると作られた職人さんの技が伝わって来ます。
良い家具を前にすると決まって何時もする事があります。
それは、引き出しの開け閉めです。
なんの事はないのですが、細部に創り込まれた家具は必ず、この開け閉めをすると隣の引き出しが、ふわっと少し前に出て来ます。
良い材料で丁寧に作られた引き出しや筐体は、寸法精度が高いゆえに狂いが生じず、時が経ってもこの様な現象が起きるのです。
20代の頃、匠の家具職人に聞かされた事をついつい反射的に今もやってしまっております。
この辺りの細工は素晴らしいの一言です。
全部で上下3段の桐箪笥は、この金物がガイドレール代わりとなり上段部分とピタリと重なります。しかもバラシて移動させる時にはこの部分が伸びて取っ手と変身するのです。凄くないですか?!
何十年とそこで使われてきたものとは想像がつかない程、今もスムーズに金物が意図された通りに動く事に本当に感動しました。
これから始まる詳細設計で、この受け継がれた逸品の収まる場所を決めて行きます。
家具も一生物を手に入れると、世代を超え愛着をもって永く使えます。住宅創りと似てますよね。
最後に、屋上に上がるとなんと大文字が目の前に!
これ程ダイナミックで美しい大文字山の借景を観た事がありません。大袈裟では無く、マジで圧巻でした。
建物高さが違う新居計画に、この借景を如何に近づけるのか社内で密かなテーマになっております。
「ねぇ!高木先生」
そのプレッシャーに高木先生は遠い所を見つめてうなだれている・・・・
と思いきや、そうでは無く、余裕の表情で身を乗り出して隣の御家の状況を確認してました。(^∀^)
「ははーん、その顔は何か思いつきやがったな?!」